2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧
朝、南西の山の頂上に建つアスガンド寺院で。 ダタ法師が僧侶ヨウガイに告げた。 「昨夜、暗黒魔道衆の一匹目が封印を解かれた。場所はモルガー国のようだ。この壺を3つ持って向かってくれ。後から他の僧侶132名全てを送り込む」 「解りました」 ヨウガイが…
南西の山の頂上に建つアスガンド寺院でダタ法師が僧侶ヨウガイを呼び出した。 「ヨウガイよ、お前にだけは話しておこう」 「何でしょうか」 遠くを眺めているようで、じっと見つめているような真意を探れない瞳でダタ法師がヨウガイに語りだした。 「このア…
朝が来て、山の集落でレウリー、ディアマンディ、ハリド、それぞれが馬に跨り森の中を駆け出した。 「ひゃっほおおおおおおおおおお」 ディアマンディがはしゃいでいる。 「競争しよっかあ」 レウリーが大声を出すと黒馬の尻に鞭を打った。 「ああ!ずるいぞ…
夜、山の集落で毛むくじゃらのケモノビトのハリドが毛を風にそよがせながら酒を口に運んだ。 「なあ、レウリー。お前のおかげですっかり平和になった。感謝しているよ」 レウリーが笑った。 「たまたまだ。俺たちは運が良かったんだよ。俺は国を離れて行き場…
ラザレフの王シャウザーとの戦いが終わり平穏な日々が続き、白ガラスクレイバーは退屈していた。 「もう自由にしていい。今までありがとうな」 レウリーにそう言われて、困っている。 自由にするってどうすればイイ?と、悩んでいる。 レウリーを王と思い一…
美しい城下町の空は暗雲に覆われている。その中央に立つ一匹の魔物の影。 それは南西の山の頂上に建つアスガンド寺院のダタ法師が見た夢。 (500年前に封印されたと聞く、暗黒魔道衆の一匹が解放されてしまう) 同じ夢をディアマンディも見た。 得体の知れな…
僕のつまらない話に、お付き合いいただき本当にありがとうございます。 何度も何度も書き直しを続けました。 気がつくと、10年以上の時が過ぎていました。 これは世に出せないなと思っていましたが、ブログでオープンにする事で 途中で辞められなくなるだろ…
ディアマンディの指の蛇の指輪が眼を光らせた。 すると、 ゴゴゴゴゴゴゴ という地鳴りと共に、大地が蛇のようにとぐろを巻いて、ディアマンデイを乗せて起き上がった。 「我が創造主が、この娘への手出しを許さない。貴様らの剣も我が創造主が作った剣。触…
薬草研究家ルマーロ親子と共に貿易国ツェストルバンタに到着した光の魔法使いトレルブの心が同じダイヤモンドの蛇の指輪を指にする娘ジュディの心とシンクロした。 (良かった。生きていてくれたんだな) 親なら誰もがそうするように、トレルブの心が娘ジュ…
アリデラードを離れて7回、夜が流れた。 海を越えて貿易国ツェストルバンタにジョウリーが到着すると、 馬に跨る長い黒髪を後ろに束ねる見知らぬ男が眼の前に現れ、馬から降りた。 「その背中に吊るす長剣、ラウリー・ウェイブランドの息子か? 」 (コイツ…
山の集落でハリドが全身の毛を立たせて震えていた。 (俺は友を独りで戦わせて黙っていても良いのか?生まれて初めて出来た友を独りで戦わせるのか?そんなのダメだろ?共に生きて共に死のう。生まれて初めての友だ。あいつにだけ苦しい思いはさせられない。…
トレルブの指に絡みつくダイアモンドの蛇の指輪が痛みを与えた。 「何だ?この痛みは? 」 娘が近くに居ると伝えている。 「ジュディ… 近くにいるのか? 」 ルマーロを探して馬の手配をした。 王と王妃を救ったトレルブに手を貸さない者はいない。 「私もお…
ラザレフ城を出たシャウザーが吠えた。 「360度逃げ場は無いぞ」 シャウザーが妖刀スナイキルを横に振るった。 ラザレフを囲んでいた連合軍の兵士達が片っ端から切り刻まれた。 上半身と下半身が真っ二つに切り裂かれた。 かろうじて切り裂かれなかった者達…
生きる者全て、黙って死を待つ者はいない。 モルガー、スパンク、その他の国々が力を合わせて作り上げられた連合軍の前では、ラザレフの漆黒の兵士達に対して少しの脅威も感じられなかった。 ラザレフの兵士全てが皆殺しにされた。 連合軍が武の大国と呼ばれ…
明け方、レウリーに邪念を斬られたラザレフの兵士たちは目覚めると、自身の身に何が起きたのか?も解らないままに何も持たずに乗っていた馬に跨り、来た道を引き返した。その事をクレイバーにレウリーが聞いた。そして、全身毛むくじゃらのハリドとレウリー…
ルマーロ親子、ジョウリー、光の魔法使いトレルブ、四人がアリデラードに辿り着いた。 アリデ・ラードの姫アリシーヌを探してルマーロがトレルブを連れて王と王妃の元へ向かった。そして、奇跡の瞬間が訪れた。 長い眠りの中から王と王妃が目覚めた。 アリシ…
QRコードを作成しました。 これまでに書いた記事は、何度も書き直しながら書き溜めた記事なので ガンガンUPしましたが、これからは、1記事づつ考えて書くのでペースダウンすると思います。宜しくお願いしますね。
ヴァルゴウルへ向かう山の一本道では、レウリー率いる山の獣人達が剣を握り、漆黒の兵士達を待ち構えている。レウリーが先頭に立ち、ディアマンディには、隠れて見ているように命令した。「邪悪な魂を持つ者達が 近づいて来るぞ。我を使え」 レウリーの脳に…
武の大国ラザレフで、西の国ビネタを陥落させた事を喜ぶシャウザー王が過去に想いを馳せた。妖剣スナイキルを手に入れた後、ラザレフの兵士全てを斬り殺し、次に王を斬り殺し、王座を手に居れた。それでも、剣神ラウリーが生きていた頃は、同じ男が造った魔…
レウリーは刃のない剣に苦しんでいた。何をどうやっても刃が出ない。まだまだ自分は父のように強くないと本気で思ってみても何も起こらない。刃の無い剣を振り続ける日々が続いている。 そんなレウリーの元に白いカラスの群れが集まった。人の形に姿を変えて…
横からルマーロが口を挟んだ。「北西の山脈で貴方様の話を聞いて、ここへ辿り着きましたが、私がここへ来たのは、別の話です。」 ルマーロは語った。世界各地で疫病騒ぎが起きた後に、アリデ・ラードの王と王妃が病に伏せてしまい、どんな薬草をもってしても…
森の中心へ辿り着くと、そこは木を伐採した平地になっており、様々な草花が植えられている。 「こ、ここは薬草の宝庫じゃないか」 ルマーロの言葉を聞いて、真ん中にある小屋から出てきた着物を着る坊主頭のトレルブが微笑んだ。「ほう、薬草に詳しいようだ…
息子のウェッピィも、母を失った辛かった遠い昔を思い出す。「ママ、死んじゃ嫌だよ。今度パパと三人でピクニックに行くって約束したでしょ?嫌だよお」 あの日、ずっと父親のルマーロに抱かれていた。(パパだって辛かったよね。でも、何も言わずに、ずっと…
ラザレフ国に集まる兵士達、全てが邪悪な種を飲まされて、国を離れた。世界の全てを手中に入れろという命を受けて西へ東へ、南へ北へと馬を走らせた。 ほくそ笑むシャウザー王の傍らで、黒鳩の目を通してツスグスも笑っている。「あはは、この世界はモジュー…
山の集落を離れ、南西の小さな島に向かった白いドラゴンに乗るレウリーが口を開いた。「ここか?ずいぶんと、人里離れた場所だな」 言われてクレイバーが答える。「人間嫌いの様です」「そうか」 島にある森の中心地に、レウリーを乗せた白いドラゴンが舞い…
レウリーを探すジョウリーと、陽魔術を使う男を探すルマーロ親子の三人は、アリデ・ラード、次にルケッテを越えた。山脈を横目に海沿いに進み、未知の国が無いか?探し歩いている。「正直言って、ドラゴンに乗って空を飛べるレウリーを捕まえる事が不可能に…
朝が来て、ラザレフ城の王室の窓辺に再び黒鳩が舞い降りた。黒鳩は足爪で掴んでいた小袋を放り投げた。「この袋の中の種を全ての兵士に飲ませれば、全ての兵士が永遠にシャウザー様の忠実なしもべになります。死ねと言われれば自害し、戦えと言われれば、死…
山の集落で剣を指南するレウリーが大声で全員の動きを止めた。「これまで!俺は少し出かける」 そう言い残すとクレイバーを呼んだ。木刀を振り、レウリーに斬りかかっていた山の民、皆がレウリーを見つめている。「どこへ行くの? 」 心配そうなディアマンデ…
ローベンから出発して、山脈沿いに西北へ進んだジョウリーと薬草研究家ルマーロ親子は遠くまで見渡せる高い場所に辿り着いた。「うわっ、砂地を進まないで良かった」ジョウリーが大声で言うと、ルマーロも頷いた。「本当に。砂の大地が途切れた先は海で、そ…
武の大国ラザレフに舞い戻った伝書鳩の足首に括りつけられた文を読んで、シャウザー王がニヤリと笑った。「よくやった。レウリー・ウェイブランドの居場所が絞り込めた。ローベン以外の近隣国といえば限られる。我が国ラザレフから向かって北のローベンの先…