美しい城下町の空は暗雲に覆われている。その中央に立つ一匹の魔物の影。
それは南西の山の頂上に建つアスガンド寺院のダタ法師が見た夢。
(500年前に封印されたと聞く、暗黒魔道衆の一匹が解放されてしまう)
同じ夢をディアマンディも見た。
得体の知れないおぞましい何かが世に解き放されるのを感じている。
ラザレフの王シャウザーが倒されてから5年。
19才になるディアマンディは、この先何事もなくレウリーと幸せに暮らしていけると信じていたが、それさえ脅かされる予感に震えた。
同時刻、右手首に金の竜のブレスレッド、左手首に銀の竜のブレスレッドを光らせる、アスガンド寺院の僧侶ヨウガイが険しい顔をして独り呟いた。
「何か… 嫌な予感がする」