Justice of sword 剣の正義

魔法の剣にまつわるオリジナルファンタジーストーリーです。

第二章 砂の王ダドゥ#4

僧侶ヨウガイの目に映る砂の王ダドゥの体から黒煙がくすぶる。



「我から離れろお!暗黒魔道衆の2匹目が見つかった。
じゃが、憎悪の念に囚われるわけにはいかん。気持ちを抑えるまで離れていろ」
ダドゥが必死で叫ぶ。
「わ、解りました」
僧侶ヨウガイが巨馬ランダから飛び降りた。
「む、むむ、むぅぅぅぅ」
ダドゥがもがいてるが、何も出来ない。
心配しながらダドゥを睨んでいると黒い煙が薄れていく。
煙が消えると砂トカゲの姿が目に飛び込んだ。
「ダドゥ様! 」
「ふぅ、、おさまった。もう大丈夫じゃ。暗黒に囚われずに済んだ。大丈夫じゃ」
僧侶ヨウガイが胸を撫でおろした。
「急がなければ。まさかプートの封印まで解かれるとは。
魂を食らい身体を奪う厄介な奴だ。小城の民は全てプートの分身となるじゃろう」
僧侶ヨウガイが青ざめた。

レウリー、ディアマンディ、ケモノビト達が暮らす山の集落にヴァルゴウルで暮らすジョウリーが現れた。
「兄さん久しぶり。元気そうだね」
言われてレウリーが顔を曲げた。
「身体は何ともないが、想像もした事の無い災いを知ってしまって困惑している。クレイバー、お前が見てきた世界を弟に見せてやれ」
言われてクレイバーがジョウリーに瞳を覗かせた。
ジョウリーの顔がどんどん青ざめてくる。
「斬られても死なないバケモノ… 戦いようが無い」
クレイバーが見てきた出来事を眺めているうちにバケモノを封印する為に動いている砂トカゲと僧侶が居る事知った。
「なるほど、バケモノが支配する兵士達のみを相手にすればイイって事か?それなら… 」
横からディアマンディが口を挟んだ。
「ねえ、ジョウリーさん。私と剣の相手をしてもらえませんか?木刀で構いません」
レウリーが笑った。
「ジョウリー、俺の1番弟子は強いぞ」
ジョウリーが眉間に皺を寄せた。
「女、子供に俺が負けるとでも? 」
「剣を交えてみれば解るさ。俺でさえ油断できない剣士だぞ」
ジョウリーの口元が引き攣る。
(兄でも油断できない剣士?こんな女の子が?ホントかよ)
「木刀でと言われた意味を考えろ。真剣だとウッカリすれば、どちらかが斬られて死ぬ」

ジョウリーにはとてつもなく長く感じられる数10分が過ぎた。
どんなに木刀を振っても捉える事が出来ない。
まるで兄レウリーに挑んでいるかのようだ。
最初は互角のように見えたが、徐々にジョウリーが追い詰められていく。
ジョウリーの木刀をいなしたディアマンデイの木刀がジョウリーの額を目掛けて襲い掛かる。
「取ったあああああああっ」
ジョウリーの数時間が奪われた。
ディアマンデイが嬉しそうに笑う。
「これで私が世界で2番目に強い剣士だって証明できたね」