Justice of sword 剣の正義

魔法の剣にまつわるオリジナルファンタジーストーリーです。

第六章 ラザレフの王シャウザーの決断#7

アリデラードを離れて7回、夜が流れた。

海を越えて貿易国ツェストルバンタにジョウリーが到着すると、

馬に跨る長い黒髪を後ろに束ねる見知らぬ男が眼の前に現れ、馬から降りた。

「その背中に吊るす長剣、ラウリー・ウェイブランドの息子か? 」

(コイツがシャウザー? )

同じように馬から降りたジョウリーが息を吐く。

「ふうううううううううう」

体が震える。

頭の中で自身に言い聞かせた。

(大丈夫。俺は鍛えてきた。父さんの聖剣ゾーグも手にしている。俺は強い。俺は負けない)

「最強と呼ばれる男は誰だ? 」

シャウザーが妖刀スナイキルを横に水平に降った。

その瞬間ジョウリーも聖剣ゾーグを握ろうとした。

だが、ゾーグは何の反応もしない。

空を切り裂く刃がジョウリーを襲う。

キィーンという激しい金属音が鳴った。

「馬鹿野郎!慢心したか?その剣はおごる者には抜かれないんだぞ」

眼の前にレウリーが現れた。

「レウリー」

ジョウリーが目を丸くして驚いた。

その時、上空の白いドラゴンがディアマンディーに言った。

「やっとレウリー殿を見つけました」

「急いで止めないと」

ディアマンディーが叫んだが、もう止める事は不可能。

ジョウリーは目の前に現れたレウリーに怒りを隠せない。

「レウリー、貴様のせいで父さんは自害したんだぞ」

レウリーが悲しい顔をしながらつぶやいた。

「その話は知っている。だが、今は目の前のコイツを倒すのが先だ。それくらい解るだろ? 今コイツを片付けないと世界が壊される」

シャウザー高笑いした。

「今日は良い日になるな?剣神と呼ばれた男の息子が二人共現れた。まとめて殺せば、世界最強と呼ばれるのは世界の王シャウザーだあっ」

大声で叫んだ瞬間、シャウザーが斬りかかった。

「邪魔だ。どけっ」

レウリーがジョウリーを蹴飛ばしてシャウザーの剣から守った。

(奴を斬れる距離まで近づかないと不利だな)

「大丈夫だ。お前なら出来る」

無剣ガルムがレウリーの脳内に語る。

「簡単に言うなよ」

言いながらレウリーがニタリと笑って、徐々に距離を詰めていく。

子供が大人と喧嘩をすると、どんなに必死に殴ろうとしても拳が空を切る。

そして、焦る。どうやっても勝てないのか?と。

それと似た感覚がシャウザーを焦らせた。

(何故だ?何故?我が剣スナイキルで斬り殺せない)

レウリーが吠えた。

「お前の剣は見えるんだよおっ」