光の魔法使いトレルブは悩んでいた。
剣で斬れない魔物と戦う術など解らない。
レウリーを慕う白ガラスに教えてあげられる事など何も無い。
とりあえず、錆びついた切れない刃物を研がせて時間稼ぎをしたが、何の解決も出来ない。
白ガラスクレイバーが己を磨いて自身を刃物にする事が出来たとしても、斬れない魔物を斬る事は不可能。
(どうしたものか)
独り、胸の内で呟いた。
見上げた夜空が霞んで見える。
何をどうしようと、どうにもできない事がある。
無力を思い知らされる。
「勝ち目が無い」
トレルブが独り呟いた。
娘のディアマンディと共に暮らすレウリーを思うと、この先確実に訪れるだろう未来に絶望を抱く。涙が溢れる。
「すまない、何も出来ない」